2009年07月04日

伊織とやよいのサバイバル7

渋谷交差点を見下ろすビルの6階にあるそのカフェは、知る人ぞ知る穴場だった。伊織はアメリカ流の豪快なBLTサンドを頬張り、俺は二個目のホットドッグを囓る。ラジオ公録の後の遅めの昼食。この後は生田のスタジオでドラマ収録だ。俺達は黙々と平らげ、伊織はオレンジジュースを、俺はカプチーノをすすり、ようやく一息。

『あなたが好きになったんだけど、悪い?』

ふと、窓から見える大型ビジョンに目をやる。そこには伊織が出演しているドラマのCMが映されていた。てこ入れがなされたドラマは持ち直し、先週の回は視聴率が13%にまで達した。信号待ちをしている人達が画面を見上げる様をみて、伊織はほくそ笑む。

「私がここにいるってこと、教えてあげようかしら」
「そんな危ないマネは止めてくれ」
「そしたらアンタが守ってくれるでしょ?」
「どこぞの3世みたいに、お姫様だっこしてダッシュしろってか?」
「その調子でパパからも守ってね」
「………なあ、伊織」
「なによ。もうやっちゃったんだからしょうがないじゃない」

朝の挨拶の後、伊織は「家出してきた」と言った。あまりに事も無げに言うものだから一瞬聞き流してしまったが、事実であれば大事だ。あるいは、また何か試されているのかと考えを巡らしていると、伊織は父親とケンカしたと告白した。

『一日もすればパパが折れるわよ』

伊織は高をくくってそういったが、俺としては気が気でない。ケンカの原因が、アイドルを辞めろと父親が言った事にあったからだ。

「大体ね、パパは私を子供だと思って舐めてるんだわ。どうせ二、三日すればアイドル飽きるって思ってたに決まってるんだから」
「なんで今頃そんなことを言い出したんだろうな。うまく行ってないならともかく、もうメジャーの仲間入りしてるんだぞ」
「だからもう満足だろって言われたわ」
「……お前の父親は、お前という人間を分かって無いんだな」
「アンタの物言い、それ、なんか棘があるんだけど気のせいかしら」

と、俺を一睨だけして、伊織は溜息をついた。
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2009年06月29日

伊織とやよいのサバイバル6

#アイドルアルティメット長いので以下IU。特別ルールは俺設定。

結局、俺がやよいのオーデションを見たのは事務所に戻ってからだった。一度ワンセグで見たというのに伊織は、一緒に見て解説までしてくれた。口調が興奮気味になるのも無理はない。やよいはオーデションで見事な逆転勝利を収めたのだった。

「ここよ、ここ! ここのステップ、スゴイと思わない!?」
「あ、ああそうだな」
「なによ、その返事は……って、ほら! ここも! ターンしてポーズ!」
「よく、姿勢が崩れないな……あれ、5位と6位の子消えちゃったぞ」
「足切りがあるって、最初に説明したじゃない」

IUには特別ルールが導入されていた。「足切り」はその一つだ。通常3次審査まであるオーデションだが、IUでは審査が進むにつれ下位の二人は足切りされる。3次審査にまで進むと、アイドルは二人までに絞られることになる。今、画面では残ったのアイドルが「一騎打ち」を始めた。

「あ、これが視聴者投票か」
「見てなさい。ここからよ」

やよいの相手は佐野美心というアイドルで、伊織もオーデションでは煮え湯を飲まされたり飲ませたりしていた強敵だ。通常のオーデションならやよいに勝ち目はなかったはず。だがしかし、3次審査から導入される特別ルール「視聴者投票」が様相を一変させる。

「視聴者投票圧倒的じゃないか。佐野美心だってメジャーなんだぞ」
「やよいって、元気をくれるの。だから応援したくなるんだわ」

あれだけ特訓したというのにやよいはカメラを意識する事なく、ただ全力に踊り歌っている。だがその姿が視聴者の心を打つのだろう。第二次審査までは差を開けられていた得点も、視聴者投票でみるみる縮まりついに逆転。そのままダブルスコアの大差で、やよいは佐野美心に圧勝したのだった。

「大金星だな」
「そうね。佐野美心も出来は悪くなかった」
「このルールってやよい向きなのかもしれないな」

やよいはライブに特化した「アピール」を繰り返していた。それはスタジオに籠もってレッスンを受けていただけでは身に付くこと無い、経験がなし得る技だ。もっとも、伊織や他のアイドルだってそれは身につけてはいる。やよいが違ったのはその引き出しの広さだ。普通のアイドルだったら3回もすればネタが尽きる所を、やよいは両手では数え切れないアピールを見せつけた。やよいが勝利を収めた最大の理由はそこだろう。

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posted by tlo at 23:47| ○○の仕事風

2009年06月26日

伊織とやよいのサバイバル5

首都高の道路状況は相変わらず快適だった。これだったら不況も悪くないと思うのだが、我らが765プロからもなるべく下道を使うように通達が回っていたりする。律子にどう言い訳しようと、俺は頭の中でシュミレーションを繰り返す。

「スピード落ちてるわよ! もっと上げなさい!」

後部席からハッパがかかる。今は待ち受ける前門の虎より、後門の狼の方が恐ろしい。アクセルを踏み込み、法定速度から10km程オーバーさせる。それでも伊織はいらだたしげに、腕を組み、足も組んでバックミラー越しに睨み付けてくる。

「もっと上がらないの?」
「これ以上上げたら捕まるよ」
「ばんばん追い越されてるじゃないの!」
「こんな事で捕まればまた記事にされるだろ。『セレドル水瀬伊織スピード違反。早く帰ってテレビを見たかったと供述』なんて物笑いの種だぞ」
「うっさいわね、分かってるわよ! 私は上げなさいっていってるの」
「分かってないじゃないか。せっかくヒロインに昇格したんだから、ここは大事にするところだろ?」
「分かってるわよ! だけど、やよいが出るのよ?」
「やよい大丈夫かな」
「大丈夫に決まってるじゃない!」
「じゃあテレビ見る必要ないな」
「私は見たいのよ!」

などとやりとりをしていると、車の流れが次第に緩くなってきた。さっき追い越していったワゴン車といつの間にか並んでいる。前の車のブレーキライト赤く光り、流れは淀みに変わり遂に止まってしまった。まもなくラジオの道路交通情報が事故の発生を伝え始める。伊織は絶叫を上げる。

「40分はかかるってさ」

ひとしきり叫き散らした後、伊織はぐったりとシートに身を沈めた。

首都高に乗るハメになったのは、ドラマの収録が押した為だった。今日の収録は主演のJプロのアイドルの彼とのラブシーン。伊織はそこで映画主演以来の本気の演技を見せた。映画の撮影ではベテラン俳優さえも刮目させた伊織である。ドラマ初出演の彼は完全に固まってしまった。NGに次ぐNG。結局そのシーンは脚本に手を入れて、彼は無言で立ちつくすだけに変更されたのだった。
が、それだけだったら下道で信号待ちでもしながらのんびりと帰れたに違いない。だが今日はアイドルアルティメットの初日であり、やよいの初陣が生中継される事になっていた。なんだかんだ言っても、やよいが心配なのだ。

「……あのバカが悪いんだわ。付き合う身にもなれっての」
「彼、初めてのラブシーンだったんだろ? しょうがないよ。それにお前、本気だったじゃないか」
「あったり前じゃない。ヒロインの魅せ場よ。ったく、あの程度で固まるなんて、先が思いやられるわ」
「少しは相手に合わせやってても良かったんじゃないのか?」

伊織は答えずに、鼻で笑った。

ドラマは視聴率一桁の可能性が見え始め、てこ入れがなされた。視聴者は目が肥え、アイドルが出ているというだけ「学芸会」ではもう満足しない。学園コメディから本格的なラブロマンスへ脚本レベルから軌道修正した上で、「演技派」伊織がヒロインとして抜擢された。スタッフロールも主人公に継ぎ2番目の位置に昇格。当初は学級委員長役のサブキャラだったことを考えれば大抜擢である。実力で選ばれたというなら、伊織も手放しで喜んだろう。だが、これにはJプロの思惑も絡んでいた。

『うちの○○とおたくの伊織ちゃんを準公認カップルという形でプロモートしようとおもってるんですよ』

アイドルの色恋沙汰がスキャンダルとして流布される昨今、逆に「爽やかな交際」をアピールするのは新しいのではないか。「平成の百恵と友和」。それが彼らのプランだった。平成の友和となる彼は伊織に好意を抱いているという。先日のインタビューで、外見より内面を評価したことが彼には好印象だったそうだ。で、平成の百恵はといえば

「冗談じゃないわ!」

と期待通りの返答。

だがこのプランは非常に説得力があり、魅力的でもある。現状より上のステップを狙うには、女性からの支持は必須だ。プロモートが成功すれば、彼が抱えている女性ファンを伊織の味方に付ける事ができるだろう。逆に反発を喰らう可能性もあるが、そこはJプロ側が徹底的にフォローすると確約した。先の写真週刊誌の時にも、彼らはファンに働きかけたという。律子も言っていたが、確かにネットの反応は冷静だった。Jプロがプッシュするなら、それを利用するのは既定路線だ。その利を説くとしぶしぶではあるが、伊織もプランに乗ってくれた。

「でもあいつ、演技だとか仕事だとかちゃんと分かってるのかしら」
「ん? 何かされたのか?」
「逆よ、妙に意識しちゃって打ち合わせする時にも固まってるの」
「伊織の恋人役になんかなれば緊張するさ」
「そりゃそうだけど、いつまでもそんなじゃ私も困るわ」
「生真面目な子なんだな」
「そりゃ悪い奴じゃないけどね」

伊織はつまらなそうに、肩をすくめた。

会話がとぎれた。進展のない交通情報から、AM局にバンドを変える。野球中継を聞こうとすると、伊織が不平を漏らした。俺はしぶしぶ、自分の携帯をとりだして渡す。春に買ったワンセグ放送の見れるモデルだ。

「ちょっ、こんなの持ってるなら最初から出しなさいよ!」
「画面小さいからな」
「この際構わないわ……ってこれどうするの?」

最初から出していれば、そのうち画面が小さいと文句を言い出すのは目に見えている。タイミングというものは重要なのだ。


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伊織とやよいのサバイバル4

「千早。歌っているときは、どんな風に自分を意識する?」
「そうですね。歌そのものになりきろうとは思っています」
「へえ、ちょっと詳しく聞かせて」

やよいを特訓するトレーナー二人に「ヴィジュアル」について私見を聞く。まずは千早だ。

「人はなぜ、歌に感動するのかという事を考えました。まず歌は歌詞と曲に分解できます、曲はさらにメロディーとリズムとコードに分解できます。ですが、人は音符に感動するわけではありません。無論「泣かせ」のコード進行というものは存在しますけど」

千早はここでいったん間をおいて、俺達を見回す。やよいが話を全く理解してない様子なのを見て取り、千早は話を切り上げようとするが俺は最後まで話すよう促した。

「つまり、感動する歌は歌詞も曲もそしてその歌い手さえも不可分なものになるのではないでしょうか? だから私は『歌になりたい』と思っています」
「うん。面白いね」
「あくまで現時点での考えなのですが」

次に伊織に話を向ける。伊織は涼しげに答えた。

「最強美少女伊織ちゃんって思ってるわ」
「まあ、そうだろうね…じゃあ、伊織ちょっといいか?」

ハンディカメラを借りると、俺は伊織に向けて構える。俺の意図を察した伊織が、うさちゃんをやよいに預ける。俺は指を3本立てる。伊織はポーズを取った。それを見て俺は、指を一本ずつ折っていき『キュー』と合図を送る。
ロングショット。伊織は後ろ手になって、カメラに対して斜に構える。カメラを寄せる。伊織はあごを引き、カメラを上目遣いでみやる。わずかにカメラを引き正面から側面に回る。すると伊織は背を向けて、顔だけ振り向き視線をよこしてみせた。

「カット」

今の撮影結果をやよい達に見せると、驚きの声が上がる。

「伊織ちゃんカワイイ!」

伊織はどうすれば自分を一番可愛く見せるか完全に理解している。故に、カメラ位置に対して瞬時に最適のポージングが取れる。もちろんケースバイケースでポーズは変えてくるだろうが、それも「理想の自分」を常にイメージ出来ているからだ。

「伊織、お前テレビ見てる時間より鏡見てる時間の方が長いだろ」
「それぐらい当然じゃない」
「伊織、それはあなただけよ」
「アンタだって、テレビ見てるよりCD聞いてる時間の方が長いんじゃない?」
「それは、そうね」

それは千早に対しても言えることで、彼女も「理想の歌」を常にイメージしている。もっとも、「歌になりたい」という言葉は俺の想像を超えていた。千早とこうして話すのはいつかの蒼い鳥以来だったが、彼女も大きく羽ばたいたという事なのだろう。

「私、そういう理想のイメージって全然持ってないからダメなんですね」
「そういう訳じゃないさ。じゃあやよい――」

俺はやよいにさっきの童謡を歌うように指示を出すと、そのまま地べたに体育館座りしてやよいを見上げる。やよいはきょとんと立ちつくす。

「やよい、俺を客と思うんだ」
「お客さんですか?」
「そう、営業先だと思って」
「あ……はい!」

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posted by tlo at 04:11| ○○の仕事風

2009年06月25日

伊織とやよいのサバイバル3

「済まないな千早。こんな事に付き合わせちゃって」
「いえ。人に教えることで気付くことは多いですので、こういう機会はむしろありがたいかもしれません」
「そういってくれると助かるよ」

千早はそう言うと、視線を伊織とやよいに戻した。夜の児童公園の外灯の下、二人は「レッスン」をしている。

「いい、やよい。カメラが来たら、くっと向いて、ぱんってポーズ決めるのよ」
「くっと向いて、ぱんだね!」
「そうよ、やってみなさい」

ハンディカメラを構えたやよいのプロデューサーが正面からやよいの側面に回り込む。やよいはカメラを目で追って、ポーズ。

「だめよ。それじゃくりっと向いて、ぽんっじゃない」
「じゃ、じゃあこうかな」

家庭の事情でやよいは遅くまで仕事やレッスンをすることが出来ない。さらにやよいはその活動方針から営業で外に出ることが多く、レッスンに時間を割くことも出来ない。そこで考え出されたのが、この「公園レッスン」だった。
デビュー直後、お披露目営業としてやよいと一緒に活動することが多かった伊織もこの公園レッスンに付き合ったものだった。まだ一年も経ってないのに、二人がレッスンする姿に郷愁さえ抱いてしまうのは、芸能界という世界の時の早さなのだろうか。

「違う。それはぐりっと向いて、ばんっよ」
「うー。むずかしいよ、伊織ちゃん」
「ちょっとアンタ! やよいになに教えてたのよ!」
「あ…。ゴメンな伊織ちゃん」

やよいのプロデューサーに当たりだした伊織を見かね、俺はベンチを立ち上がる。

この「特訓」は伊織が言い出したものだった。やよいは「ヴィジュアル」面に弱い。それが伊織の指摘だった。

『このままじゃ、アイドルアルティメットで勝ち残れないわ』

だがヴィジュアルには一概に割り切れない難しさがある。ポージングであるとか表情であるとかメイクであるとかコーディネイトであるとか、実に様々な要素が絡み合うのだ。伊織が千早を引っ張ってきたのも、彼女がそれを一番良く知っているからだろう。

「伊織、その教え方じゃ誰にも分からないよ」
「でもこれぐらい簡単な事じゃない」
「伊織。あなたには当たり前な事でも、高槻さんには分からないんじゃないかしら」
「でもアンタだったら分かるでしょ? 千早」
「うー。こんな事も分からないって、私ダメかも……」

頭を抱えるやよいに、伊織は慌てだす。千早は伊織の教え方に問題があると指摘する。いつもなら言い争いになるはずの展開だが、ここで伊織が強弁すればますますやよいが落ち込む事になるだろう。ばつの悪くなった伊織は、千早に任せると言ってすごすごと引き下がってしまった。

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posted by tlo at 01:40| ○○の仕事風

2009年06月21日

伊織とやよいのサバイバル2

「何で私達は出ないのよ。手っ取り早いし、白黒はっきりするし、良いことずくめだわ」

前日の会議の結果を聞いた伊織は、予想通りの第一声を発した。確かにこれほど彼女好みの祭典は無く、実力以上のものを発揮できれば優勝も夢ではない。が、俺はアイドルアルティメットに出場するつもりは最初から無かった。

「出来レースだよ。ただでさえ地デジのプロモーションはコケまくりなんだ。夜の公園で『ヤヨイー!ヤヨイー!』って暴れるようなアイドルを間違っても選ぶわけないだろ?」
「バカっ! 私がそんなことするわけ無いじゃない!」
「冗談は追いといて」
「真面目に話しなさいよ」
「どんなに派手な謳い文句を掲げても、総務省も絡んだお手盛りイベントだ。CMみたいなもんだよ。だったらスキャンダルは無い方が都合がいい」
「私じゃダメだって言うの?」
「あれから伊織にCMの仕事があったか?」

そう言うと伊織は苦虫を噛み潰したような顔をして黙り込んでしまった。ドラマの仕事は増えたがCMは現状皆無といっていい。スポンサーはスキャンダルに敏感だ。ただでさえ水瀬財閥の末娘という事で使いづらいとは言われてきたが、この間の騒動がとどめを刺した格好になった。

「それに活動方針とも食い違う。伊織のことはもう少し長い目で見ていたんだ」
「長い目ってどれぐらいよ」
「そうだな…3年ぐらい」
「3年も待っていられるわけ無いじゃない! やっぱり出るわよ!」
「違う違う! そういう意味じゃなくて」
「どう違うって言うのよ!」
「息の長い活動をして欲しい。君はさらに大きくなれる筈だ」
「仕事さぼる口実を作ってるんじゃないでしょうね」
「IUじゃ君の価値は計れない。そう思っている」
「……ま、私が出れば優勝なんて決まっちゃうようなものだから、今回はやよいに譲ることにするわ」

「プロデューサーさん」

ふいに声がかかる。記者が来たと小鳥さんに告げられて、俺は取材のアポを思い出す。伊織もとたんに顔をしかめた。分からないではない。今取材に来るということは、例のJプロ関連の事は聞かれるだろう。痛くもない腹を探られるのは、実際痛んでいる腹を探られるより煩わしいものだ。

「記者の前でそんな顔するなよ」
「分かってるわよ」
「余計なことは喋るなよ」
「分かってるわよ」
「マナジーが無くなるぞ」
「なによそれ」
「愛とか勇気とかその辺のものだ」
「訳分からないこと言ってると蹴るわよ」
「気持ちをほぐすギャグのつもりだったんだけど……」
「……だったらもっと気の利いたネタを用意しときなさい」
「でな、その超時空勇者が…」
「だから分からないって言ってるでしょっ!」


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posted by tlo at 04:04| ○○の仕事風

2009年06月20日

伊織とやよいとサバイバル1

#SP世界

「すると水瀬君のあの記事は嘘という事だね?」
「ええ、事前に差し止めの要請はしたんですがJプロがプッシュしたようです」
「え、Jプロからなの?」
「ああ、主演の彼はJプロが今一押ししてるけど、ドラマの視聴率は今ひとつなんだ。話題作りの一環だろう」

765プロ会議室。今行われているのは社長を交えた"Project iM@S"の定例会議だが、プロデューサー達はU字に置かれた折りたたみの長机の思い思いの席に座っている。席順によるメンツを気にする人間がここにいるとも思えないが、自由な発言を促す社長の配慮なのだろう。実際ここで何かが決まるという事はなく現状報告や情報交換が行われる程度で、担当アイドルの今後の活動方針を決めるのはあくまで各プロデューサーである。
今の議題は伊織のスキャンダル記事についてだ。件の映画出演以来ドラマ出演のオファーが増えている。この夏クールでは日元テレビ土9ドラマの出演を射止めた。今回写真誌を飾ってしまった記事は、そのドラマの主演アイドルとのものだった。写真はロケ先のホテルでたまたま二人きりになった所を撮られたものだったが、念のために確認すると伊織はにべもなく答えた。

「あんなお子ちゃま、私の趣味じゃないわ」
「……彼、お前と歳変わらない筈だぞ。むしろ二つ上じゃなかったか?」
「一から十までお膳立てしてもらってるのに、箸の上げ下げも出来ないのをガキっていうの」
「まあ、あの演技はさすがにちょっとなあ……」

スキャンダラスなイメージがまとわりつくのは伊織も俺も覚悟の上だ。しかしワイドショー辺りで散々ネタにされ、安易に消費されるのは気をつけなくてならない。だから記事は差し止めたのだが先方の思惑は違っていたらしい。男性アイドルをほぼ独占する業界最大手のJプロがプッシュするなら中堅765プロでは抑えが効くはずもない。雑誌社の記者を締め上げると彼はそう白状した。

「いろいろと複雑だな」
「スキャンダルを嫌うJプロがそんな手段に訴えるほど追いつめられていると考えれば、伊織は体よく使われた事になる」
「逆に伊織ちゃんのプレゼンスが上がってるって事じゃない?」
「……そういう考え方も出来るか。それでも不本意であることは変わらない」
「対策はどうかね?」
「特別な対策は取りません。伊織にも事実だけを話すように伝えてあります。Jプロがこれ以上煽らないならこの件は単発で終わりです」
「煽った場合は?」
「こちらもそれなりに利用させてもらうことになります」
「分かった。何か私に出来ることがあるなら言ってくれたまえ」

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posted by tlo at 01:25| ○○の仕事風

2009年06月19日

伊織とやよいのサバイバル



>はじまり
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2009年03月12日

伊織と俺のプロデュース−Epilogue

チン


エレベーターの扉が開く。俺と伊織がエレベーターを出ると扉が閉じる。上がっていくエレベーターの表示が三階になった辺りで、ビルの地下駐車場に盛大な溜息が響く。

「って、何よ情けないわね」
「いや、今回ばかりは疲れたよ」
「私は楽しかったわよ」
「……昨日は泣きそうな顔してたくせに」
「何か言った?」
「いや、別に」

実際疲れた。なにせこのお膳立てをするのに、丸一日しか時間がなかったのだ。各方面に相当の無理をお願いして、あちこちで横車を押しまくった。机に積まれた請求書を律子に提出するのが恐ろしい。救いだったのはあの監督がノリノリだった事で、自らスタジオを借りて一日であのトレーラーを完成させてくれた。しかも「素材撮り」をしたいからと報道陣に紛れ込んだのは彼の発案だったりする。

「もっと胸を張りなさい。アンタそれだけのことはしたのよ?」
「それだけのことって?」
「アンタ、スキャンダルをプロデュースに変えたんじゃない」
「そりゃ、仕事だからな」
「私のためにでしょ?」
「俺にだってプロデューサーとしての野心はあるよ」
「私を応援したいんでしょ?」

伊織に悪戯っぽくのぞき込まれ、俺は思わず顔を背ける。正直に言えばお膳立てに没頭している間、そんな伊織への気持ちを忘れていた。だから罪悪感はあるし、すなおにうんと頷けない。視線を感じて、ちらりと目線だけもどす。

伊織はにっこり笑ってくれた。

疲れが吹き飛ぶ。この笑顔があれば、俺はやっていけるだろう。

「俺は伊織のプロデューサーだからな」
「次も頼むわよ」
「ああ、任せろ」

穏やかな空気が二人の間を満たす。俺達はしばし見つめ合





〜♪



全く空気の読めない携帯だ。
だが今回なっているのは俺のではなく、伊織がしぶしぶ携帯を取り出す。
電話に出た伊織の顔が厳しくなっていく。様子がおかしい。

「ど、どうしたのやよい!? 落ち着いて話して」
そのうち俺の携帯にも呼び出しがかかった。嫌な予感に急き立てられ、俺は電話に出る。
『プロデューサーさん!? 急いで帰社してください!』
「どうしたんですか小鳥さん」
『それが……』


「「美希が移籍!?」」



                                   Go to the next stage
posted by tlo at 22:52| ○○の仕事風

伊織と俺のプロデュース18

儘ならないのが世の中とはいえ、ついてないときはトラブルが続くものだ。大きな山を乗り越え一息つく間もなく、また難題が降りかかってくる。運命を呪うというのは、こういう時の気持ちを言うのか。

『セレブアイドル夜のパーティーの御乱行。今夜のお相手は映画監督?』

ゴシップ記事の見開きを、あの監督と一緒にタクシーに乗り込む伊織の写真が飾っていた。場所は例の六本木のビル、撮されたのは間違いなくあの日の夜だ。この後タクシーは歓楽街に向けて消えていった等というこの記述は、いつもならでっち上げだと言えば済む話だが今回に限れば事実で、しかも小さな記事じゃない。

社長室のテーブルに置かれたその雑誌を前に、伊織は顔面蒼白で立ちつくす。

「記事の差し止めは間に合いませんか?」
「いや、発売は明後日だ。明日にはマスコミが嗅ぎつけるだろう。もう問い合わせの電話が入り始めている」
「明後日、ですか」

間違いなくあのゴシップ記者の仕業だ。大物タレントの熱愛発覚でもあれば、伊織の記事なんて話題にもならないだろうに。スキャンダルを飯のタネにしているようなワイドショータレントも、この頃はなりを潜めてとんとご無沙汰だ。ならば政治で大きな動きがあれば………

全く無意味な事を考えている自分に気づき、頭を振って一つ深呼吸する。ようやく横にいる伊織の姿が目に入る。伊織はただ、呆然と机の上の記事を見つめていた。

「伊織、疲れたろ? もう休め」

返事がない。

「伊織」
「……どうするのよ」
「今考えてる」
「さっさと対策しなさいよ!」
「ああ任せろ。だから今日はもう帰って――」
「帰れる訳ないじゃない!」

伊織は拳を記事に叩きつける。大きな重い音をたて、テーブルが揺れる。

「伊織、怪我したらどうする」
「そうだわ……パパに頼んで記事を握りつぶすのよ。いっそ、出版社ごと買い取って雑誌を休刊させてやるわ!」
「そんな事したら余計に騒ぎが大きくなるだろ?」
「そこまでせずとも彼なら、影響を最小限にしてしまうだろう」

腕を組んでいた社長が深い溜息をつく。

「そして君もアイドルを辞めさせられるに違い無いだろうね」
「「それは困る!」わ!」
「だが水瀬君の将来を考えれば、それも選択肢として考えねばなるまい」
「そんなのイヤよ! ほら、アンタ早く何か考えなさい!」

普段あれだけいやがる父親を担ぎ出す辺り、伊織は相当に追いつめられている。確かに社長の言うとおり、彼女の父親ならマスコミを黙らせることは簡単だ。『水瀬グループからの広告出稿に影響が出る』と言えばいい。だがマスコミだけ対策すればいいというものではないのが現状だ。最近はネットの影響力も無視できないのである。下手をすれば「炎上」しかねない。

「ああもう! いっそあの監督と熱愛宣言でもしてやろうかしら!!」
「………あ」
「何か思いついたの!?」
「それいいアイデアだなと思って」
「それって、何よ」

自然と口元が歪む俺に、伊織は驚いたように距離を置く。

「あの監督の流儀に倣うのさ」


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2009年03月07日

俺と伊織のプロデュース17


「カメラテストは終わりです。お疲れ様」


彼女は事務的な口調で、テストを打ち切ろうとする。全てはシナリオ通りなのだろう。脱げるか脱げないかを問い、脱げると答えた時にはここで脱いで見せろと求める。このシナリオを提案したのは間違いなくあの監督だ。
殆どが事務所の人間に止められたと思う。機転を利かせてその場を凌いだアイドルもいたかも知れない。だが迷いつつも歯を食いしばり、腹を見せたアイドルもいただろう。逡巡の末結局脱げず、泣き出すアイドルもいたはずだ。

彼はその光景さえも、映画の糧にするつもりだ。「リアリティ」といえば聞こえは良い。だがそんなものは都合良く構成された「フィクション」だ。アイドル達のたった一面を切り貼りしただけの「ニセモノ」。薄っぺらの「作り物」だ。

俺達はあの男がそんなヒトデナシだと知っている。
この事態さえ予想の範疇だ。
そして伊織は、彼の頭の中の「リアル」に切り抜かれるのを拒否した。


「見なさい」


そう彼女が「見たいの?」と問うたのは、今、目の前にいる「リアル」



「私が、アイドルよ」



伊織は服を下ろそうとしない。監督もカメラから目を離さない。テストは終わってない。戦いは続いている。

「監督。もういいでしょう?」
「撮影の邪魔だ。どいてくれ」

彼がテスト続行を宣言する。外国人プロデューサーは事の成り行きをじっと見守っている。

「765プロさんっ。あなたも見てないで彼女を止めて」

うわずりそうになる声を抑えて彼女は言ってきた。伊織が振り返る。紅玉の瞳の奥には決意の光。伊織は脱ぐ。最後の一糸に至るまで脱ぎ捨てるだろう。10日前にはちょっとした冗談にさえ顔を赤らめていた少女だったのに。

「伊織」

止めることはできる。
まだやめさせる事はできる。
しかし

「伊織、脱いで見せろ」

その言葉に、伊織の口元がわずかに緩む。
俺が頷くと、伊織はそのままセーラー服の上着を脱ぎ捨てた。
細い小さな肩からまっすぐ伸びる鎖骨。
明るい室内にあってさえ、シルクのような光沢を魅せる肌。
腹に若干残る贅肉は子供の名残で、柔らかそうな肉感に思わず手が伸びそうになる。

担当者の彼女は絶句した。
俺が止めると思ったのだろう。
だが、そもそもこのテストに出ると決めたのは俺だ。
ならば、伊織が脱ぐのも俺の指示でなくてはならない。
例えそれが伊織の意志であろうとも、
銃爪は、俺が引かねばならない。

ホックが外され、プリーツスカートが伊織の足下に広がる。
彼女らしくない、安っぽいコットンのショーツは役作りだろう。
子供っぽいデザインのそれは伊織の腰には小さく、尻に食い込み、肉がはみ出る。



ここで伊織は動きを止めて斜に立ち、カメラを凝視した。
ホテルの最上階のスイートルーム、窓一面には摩天楼。
アールデコ調のインテリアに囲まれて、半裸の伊織が立っている。
今やこの空間は、伊織の「リアル」が支配する。
俺達は登場人物であり観客だ。
彼のカメラには一体何が映っているだろう。



視線を外した伊織が、ゆっくりと背中に手を回し、ブラのホックを外す。
乳房を隠していた布地が落ちるその刹那、
すべてを「外」から見ていた唯一の人間が声を上げた。


"Cut!!"
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posted by tlo at 00:00| ○○の仕事風

2009年03月05日

伊織と俺のプロデュース16

広いリビングに置かれた調度には高級感が漂い、壁一面の窓からは都心部の摩天楼が一望できる。毛足の長い絨毯に浮かされるようで、地に足がつかず落ち着かない。伊織は勧められたソファーに座ると、脚を揃えて横に流し、両手を腿に置く。教えてもないのにこういう仕草が自然に出てくる辺り、良家の躾の賜だろう。俺は伊織の背後に控えるように立つ。
シティホテル最上階のスイートルームがカメラテストの会場だった。正面のソファーに座っているのは3人。左には件の監督、右の席にはスーツに身を固めた中年の女が座る。そして中央には外国人の男がいた。初老で痩せてはいるものの、かっちりとダブルのスーツを着こなすタフなビジネスマン風の彼こそが、例の大物プロデューサーだ。今回の映画には余程力を入れているのだろう。そうでなければ多忙を極めると言われる彼が、日本にまでやってくることはあり得ない。
まず女が自己紹介をした。彼女は中堅配給会社の買い付け責任者で、時折プロデューサーとしても名前を連ねる事を俺は思い出す。彼女は続けて、外国人プロデューサーと監督を続けて紹介した。プロデューサーは日本流のお辞儀をして見せる。

「では最初に自己紹介をしていただけますか?」

緊張をほぐすように、彼女は優しい声でゆっくりと伊織に問い掛ける。監督がソファーから立ち上がって三脚に据えられたカメラを回し始めると、伊織は四十八の猫かぶり技の一つ「高度に深窓化したお嬢様は、皇族と区別がつかない」で、ゆっくりと質問に答えていく。
俺達の不安が杞憂だったのかと思うほどに、無難が質問が続く。だが伊織は緊張を解いていない。現に監督はろくにカメラをのぞき込もうとしない、外国人プロデューサーに至っては通訳もついていないのだ。伊織は奇をてらわない無難な答えを返していく。そう、まだ「本番」じゃない。

「ところで水瀬伊織さん」

柔らかい声が、わずかの緊張を帯びる。伊織はその変化を逃さない。短く返事をすると、口元をきゅっと結ぶ。

「この映画では、いろいろと刺激的な表現をする予定です」

監督はようやくカメラをのぞき込んだ。レンズがせり出され、絞りが開かれる。

「水瀬さんは、ヌードを見せる事ができますか?」
「必然性があれば」

躊躇うことなく、気負いすることなく、伊織は答えた。この手の質問は答えそのものよりも「女優の資質」が問われる。奇をてらわずに堂々と答えた事は正解だろう。だが、かつて大女優と呼ばれた人間は、この問いに対したびたび名言を残している。伊織の答えは無難に過ぎて凡庸だ。らしくない。伊織の様子を窺おうと腰をかがめたその時、監督が口を開いた。

「必然性があれば、脱ぐのかい?」

伊織は監督に顔を向ける。監督はカメラから目を離していない。回り続けるカメラが、問いに頷く伊織の姿を捕らえる。

「じゃあ脱いでくれる?」

何事でも無いかのように、監督は伊織に服を脱ぐよう指示を出す。外国人プロデューサーは足を組み替え、静観の構え。配給会社担当も、表情を変えずに事の成り行きを伺っている。本番だ。

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posted by tlo at 20:00| ○○の仕事風

2009年03月03日

俺と伊織のプロデュース15

カメラテストには思ったより多くの参加者があり、シティーホテルの小宴会場は息苦しささえ感じられた。大手プロダクションの社章をつけたマネージャーらしき男さえ見かける。だが彼らの傍らにいるのは駆け出しかあるいはデビュー前の、俺も顔を見たことのないアイドルだった。
あまりにスキャンダラスな内容だ。リスクとリターンを天秤にかけて、失うものがない新人をあてがってきたのだろう。だが監督の意図を明確に察すればメジャーアイドルを投入するのが正解で、そうなればメジャー一歩手前の伊織の勝算は薄くなっていた。そこまでは計算通り。
誤算があるとすれば、伊織の仕事を「寝取った」彼女もテストに参加していたことだ。驚きを隠せずあんぐりと口を開けるしかなかった俺の目の前を、彼女は伊織に挑発的な笑みを向けながら颯爽と歩き去っていった。彼女の図太さは最早賞賛されるべきものだろう。彼女は盗み撮りの件を知っているのか。

――いやだからこそあの監督は彼女を呼んだのかも知れない。

ホテル内のカフェで、エスプレッソの泡をすすりながら俺は考える。主催者側からは俺達のテストの順は一番最後になると伝えられた。最低1時間はかかるだろう。彼女と顔を合わせた伊織を落ち着かせるために待合室から連れ出して来たのだが、当の伊織は平然とオレンジジュースを飲んでいる。
もしかしたら伊織は、もうあの夜を乗り越えているのかも知れない。全ては俺の取り越し苦労で、目前に控えたテストも伊織にとってはいつものオーデションと変わらないのかも知れない。いずれにしても、テストには学校の制服を着てくるように伊織に指示した昨日の時点で、俺の出来る事は残ってない。腕時計を確認し、俺は殆ど手つかずだったエスプレッソを一気に飲み干す。

「そろそろ行こう」
「先に行ってて」
「どうした?」
「乙女に聞いちゃいけない用事」

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2009年03月02日

俺と伊織のプロデュース14

昼下がりの公園には遠くのベンチに座る老人以外誰もいない。どこにでもありそうな児童公園に子供の姿がないのは平日と言うこともあるだろう。ココアをすすりながらぼんやりと空を眺める伊織を見つめながら、デビュー間もない頃の会話を思い出す。あの時は、公園で二人きりだった。

あの頃は全く仕事が無かった。それなりの勝算を持って芸能界に飛び込んできたであろう伊織には耐え難い日々であったろう。本気で辞めたいと漏らしたのは、後にも先にもあの時だけだ。それに比べれば今の状況はまだマシといえる。伊織の目の前にあるのは、先の見えない不安ではなく乗り越えなくてはいけない壁だ。

あの夜の出来事を超える事で、伊織は一皮むけるだろう。

少なくとも今伊織が抱いている「カワイイあの子はみんなのあこがれの的」などというアイドル像は捨ててもらわなくてはならない。これはあの誓いを実現させる為の、長い道のりの第一歩となろう。だがその伊織が、今ひとつ乗り気でない。負った傷は思った以上に深かったのだ。

「そろそろ移動しようか」

俺の声が聞こえたのか聞こえなかったのか、伊織はココアの缶を傾ける。もう一度呼びかけると伊織はようやく溜息をして、俺に向き直った。

「アンタ、いっつもこんな営業してるの?」
「うちは社員が少ないからね」

今やっているのは新規開拓の営業だ。この手の営業には普段伊織を連れて行かない。伊織向きじゃないし、彼女をくさらせる事になりかねない。現に今も、広告代理店の担当者にアポをすっぽかされて時間を潰していた所だ。

「なんで今日は私を連れてきたの?」
「現実を知ってもらおうと思った」
「厳しい現実ってやつ?」
「いや、ただの現実さ」
「なによそれ」
「誰もお前を、水瀬のお嬢様だからって特別扱いしなかったろう?」

伊織は芸能界に入ってからは水瀬財閥の影響力を行使しようとしない。むしろ仕事の間は水瀬の名前を忌避するようだった。損得と打算で動く世間を、伊織は己の力だけで泳ぎ切ろうとしている。計算高い癖に、妙なところで不器用なのだ。この娘は。

「だからあの記事は真実じゃない」
「でも、火のないところにはって言うじゃない」
「そりゃ真っ赤な嘘って訳でもないだろうな。お前が水瀬のお嬢様っていう事実は動かせない。だけど今日の営業が『現実』だ。お前がお前の父親の名前を出さない限り、世間は『平等』に扱ってくれるよ」
「……つまり私には価値が無いって事なのね」
「相応の価値しか認めないって事だよ。そして今は、お前の真価が知られてないだけ」
「それって、アンタが仕事出来ていないって事じゃないの?」
「ごめんな」

率直に謝る。事実そうなのだからしょうがない。伊織は歯ぎしりしてひとしきり睨むと、口をとがらせてそっぽを向いてしまった。

「言いたいことがあるなら言ってくれよ。黙っていられると気味が悪い」
「言い訳ぐらいしなさいよ。あっさり謝られたら文句も言えやしないわ」
「ない」
「じゃあ私も言わない」

数日前まで散々やりあっていたのに、ここ数日はこの調子だ。方針が気にくわない訳じゃないだろう。徹底的に伊織に喋らせて反撃に転ずる俺の戦術に対応してきたのだろうか。伊織との会話は往々に高度な心理戦になる。男女の恋のさや当てならば、ここは相手が折れるまで持久戦がセオリーだがコミュニケーションが減るのは仕事として良い傾向とはいえないだろう。

「なあ伊織」

俺が話しかけると、伊織が顔を向けてくる。話したくも無いという訳では無いのだろう。のぞき込んでくる彼女を見て、思う。
綺麗な娘だ。
彼女の成長を見ていたい。
だが、それは叶わぬ夢だ。
こみ上げる愛おしさに、言葉が溢れた。


「俺、お前のことが好きになんだろうな」


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posted by tlo at 23:39| ○○の仕事風

2009年02月28日

俺と伊織のプロデュース13

「いやよ」
「何故だ?」
「変態監督のエロ映画になんかお断りよ」
「それが理由か?」
「そんな映画、ヒットするわけないわ」
「それは分からないだろう?」
「私がイヤっていってるの。理由はそれで十分よ!」
「あのなぁ、伊織……」

そっぽ背く伊織に、俺は説得を試みる。今日のミーティングのお題は「映画のカメラテストへの参加」の件だ。映画とは、いつか事務所に案内のメールが届いていた『Lo.li.ta.』の事で、伊織にとっては屈辱を味わされた「あの男」が監督する映画だ。そのカメラテストに出るという俺の提案に、伊織がイヤというのも無理はないだろう。

あの一夜から一週間が過ぎようとしていた。あの夜の翌朝こそ互いの醜態をさらしあっただけにどこか気恥ずかしい雰囲気だったが、その午後のミーティングではもうケンカ腰になっていた。活動の中心をテレビバラエティから移すと伝えると、伊織はこう噛みついてきたのだ。

『逃げるの?』

何から逃げるのか、俺は暗黙のうちに了解した。だがこれはテレビに出られない為の処置ではない。これから狙おうとするファン層にテレビというメディアが訴求力を失っている事を指摘し、企業のCM出稿が減っている事も付き添える。

『ファン層まで変えるの?』
『広げようと思う。これからはしっとりとした美しさも打ち出していく』
『そ、そう』

結局、なだめすかしてプロデュース方針の変更を納得させるのに半日かかったが、嫌なものはイヤだというのは伊織の良いところだ。言葉を尽くし、伊織を説得するのは確かに骨だ。だが意図を理解すれば伊織は自分なりに考えて動ける。それこそ蒼い鳥の一件のように、アドリブさえしてみせるのだ。

以来、ことある毎に伊織と俺は衝突している。数日は伊織の信頼を失ったのかと不安にもなったが、納得さえすれば伊織は指示に従ってくれた。伊織が言う「イヤ」というのは単純な拒絶でなく、話し相手の興味を引くための手段なのかもしれないとも考えた。時折彼女が見せる孤独の陰を思うとあながち間違いではない気もするが、今伊織が放っている「イヤ」は本気の「嫌」に違いなかった。

「これで主役を取れれば、今後の営業が楽になるんだ」

演技することに伊織は抵抗はないだろうが、仕事としての経験は無い。滑舌を良くする等の基礎訓練は今までのレッスンに取り入れていけば問題ないだろうが、これだけは実際に現場に立つしかない。だが、実績のない伊織に端役でも仕事が取れるかと言えば難しい。役者の世界もアイドルと同じで生存競争はあるのだ。実績としてこれだけ箔がつくものはあるまい。

「どうせ、外国のマイナー映画じゃないの」
「確かに、日本だったら単館上映程度になるかもな」
「だったら営業的に意味無いじゃない」
「そうとも限らない。この映画のプロデューサーは、アメリカメジャーにもコネを持ってる大物だ」
「そうなの?」

映画のプロデューサーは、投資家から金を集め、映画を作ることで資金を運用し、得た利益を還元するビジネスマンという側面を持つ。このプロデューサーの辣腕と慧眼は、過去に幾人もの映画監督をメジャーに押し上げている事で証明されていた。少なくとも海外では、それなりの話題をさらうことだろう。

「勝算はあるの?」
「あるよ」
「『勝算は君の美貌と才能だ』なんていわないわよね」
「それが一番大きいけどね」
「御機嫌取りはいいから、聞かせなさいよ」

伊織がノってきた。だがここでノせられかけている事に気づけば、伊織は反発するに違いない。伊織とのやりとりはポーカーゲームだ。俺はあくまで懸命に説得するそぶりを見せ、慎重にカードを切る。


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posted by tlo at 01:34| ○○の仕事風

2009年02月25日

俺と伊織のプロデュース12

「伊織ちゃん」
「……分からないの」

ぽつり、ぽつりと伊織はプロデューサーが言った言葉を紡ぐ。チャンスを掴めば成功する訳じゃない、それは理解できる。だが努力してやっと掴んだチャンスを横から盗られる現実で、それが常識だというこの業界で、どうやって生き抜いていけばいいというのか。

「『時代と寝る』ってプロデューサーさんが言ったの?」
「……ええ」
「分からないって、何が分からないの?」
「アイツ……」
「うん」
「アイツ……つぎつぎ男に私を抱かせて………」
「なんでそう思うの?」
「時代と寝るって、そういう事じゃないの?!」
「それが、分からないこと?」

伊織は小さく頷くと、そのまま俯いてしまう。思い詰めた横顔がテーブルのオレンジジュースを凝視する。小鳥が腰をずらして、伊織に寄り添うように座った。ぬくもりを近くに感じて伊織が顔を上げると、小鳥はほほえみかけた。

「私の思い出話聞いてもらえるかしら」


小鳥のデビューした当時、業界は某辣腕音楽プロデューサーによるアイドルで席巻されていた。彼の傘下にないアイドル達はテレビに出ることも叶わない。765プロ社長の肝煎りによりデビューした小鳥であったが、やはり不遇を託っていた。そんな時、小鳥は彼女に出逢った。

「私と同期デビューした子でね。やっぱり仕事がなくって、私と同じ事悩んでて、事務所は違ったけどすぐ仲良しになったの」

手売りのCDが売れ残ったり、先輩芸能人にいびられたり、ファンレターが届いたり、ライブが成功したり……同じ苦しみと喜びを分かち合いながら二人は互いの夢を語り合う仲になっていった。

「彼女、歌ったり踊ったりするのが好きで、それでみんなが喜んでくれるのがすごくうれしいんだって言っていた」
「やよいみたい」
「そうね、やよいちゃんや春香ちゃんみたいな子だった」
「そのアイドルがどうしたの?」

小鳥は視線を外し、窓の外をみやる。夜も眠らぬ都会の明かりに照らされて、空には星一つ見えない。

「彼女、その辣腕プロデューサーにプロデュースされることが決まったの。すごかったわ。出すシングルはミリオンセラー。アルバムはオリコン1位。その年の紅白にまで出場が決まった」
「すごいじゃない」
「そしてね、彼女に会ったの。仕事先でたまたま。彼女も私のこと覚えててくれてて、声をかけてくれたのね。ちょっと嬉しかったな……でもね」
「どうしたの?」

小鳥は、口をつぐむ。伊織は小鳥の横顔をのぞき見る。夜空に向けた視線は、さらに遠くを見るようだった。

「彼女、そのプロデューサーに紹介してくれるって言ったの」
「良い子じゃない。紹介してもらったの?」
「『裸になってベッドに寝るだけで良いの。簡単でしょ?』って」

彼女とそのプロデューサーが半ば愛人関係にあるというゴシップ記事を読んだことはあった。あること無いこと書き立てるのがゴシップだ。小鳥も眉唾ものの記事と思っていた。

「……で、どうしたの?」

おそるおそる尋ねる伊織に、小鳥は視線を戻し再び微笑んだ。

「怖くなって、すぐに社長に相談したわ」
「それで?」
「社長はね、こう言ってくれたの。『チャンスも掴めず去っていく人間は多い。だが、チャンス掴んだからって、それをものに出来るとは限らない』んだって」
「それって……」
「伊織ちゃんのプロデューサーさんも同じ事言ってるわね」

目を丸くする伊織に、小鳥は首をかしげて顔をほころばせる。

「でも、その子は成功したんでしょう? 小鳥は……」
「そうね、私は大成功とは言えなかった」
「じゃあダメじゃないの!」
「そうね……でも、これを見てくれる?」

小鳥は四つんばいになってラックまで這うと、一枚のディスクをDVDプレーヤーにセットする。テレビに映ったのは、若かりし日の小鳥の姿だった。


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posted by tlo at 03:20| ○○の仕事風

2009年02月23日

俺と伊織のプロデュース11

「――ですが、テレビ中心のプロデュースはいずれ限界と思います。少なくとも伊織はテレビ向きじゃありません。なにより近年のテレビの消費速度はあまりに速すぎます。お笑いとアイドルは半年で使い捨てです。私は、伊織をそんなサイクルに乗せたくはありません」

765プロの社長室。時刻は日付を回ろうとしている。社内に残っているのは二人だけ、社長と俺だ。伊織を小鳥さんの部屋に届け、会社に電話してみると思った通り社長は残っていた。アイドルが仕事をしている間、社長は決して退社しない。その日はあずささんが遅くまで収録をしてた。彼にとって、帰社したアイドルとプロデューサーを出迎えるのは仕事なのだろう。その分、時々朝礼に遅れてくることはあるのだが……。

俺は全てを報告した。ゴシップ記者からの情報、伊織が遭遇した現場、そして伊織が経験した「営業」も。社長は沈痛な面持ちで話を聞き、話し終えた俺をねぎらってくれた。だが話はそれで終わりじゃない。これからどうするかが問題だ。俺は社長に「談判」を持ちかけた。腰を浮かし、身を乗り出して訴える俺の言葉に、上座のソファーに座る社長は耳を傾けてくれた。

「プロデュース方針の変更については了承した。もともと君達プロデューサーに任せてある事だ。思うとおりにやってくれたまえ」

「談判」の内容は二つ。一つはプロデュース方針の変更だ。「プロジェクトアイマス」は次世代のアイドル像を探る765プロダクションの社運を賭けた計画だ。プロジェクトに集められたのは、11人のアイドルと10人のプロデューサー。プロジェクトではそれぞれのアイドルは、それぞれの得意分野での活動が計画されていた。例えば、美希はグラビア中心の活動を、千早はアーティスト寄りの活動をしている。やよいなどはライブ活動を中心にしていて、呼ばれれば商店街の売り出しにだって飛び出していくのだ。
そして伊織には「テレビタレント」が期待されていた。空気を読んで適切な切り返しをする才気は14歳の子供のものじゃない。事実、東京ローカル局からの番組レギュラーのオファーも数件あったのだ。だがテレビというメディアは真実を見透かしてしまう事がある。伊織の「猫かぶり」を視聴者は敏感に察知するのか、レギュラーはどれも長続きはしなかった。今回の件が無くとも、プロデュースは手詰まりになっていただろう。

「映画、舞台、ドラマ。確かに水瀬君の才能は、演技でこそ発揮されるものかもしれないな」

伊織の真価は「演技」にある。最初にそれに気づいたのは、伊織がアーティストのPVに出演したときだった。そこで伊織は、雪歩と共に神を下ろす巫女の役を見事に演じきる。そもそも猫かぶり自体が演技なのだ。テレビでは鼻につく才気も、舞台の上あるいはスクリーンでは「演技」として昇華されるに違いない。

「だがプロデュース期間の延長は認められない」
「お言葉ですが、たった一年の活動で何が出来るでしょう。それでは今のテレビ業界となんら変わらないではありませんか。着物姿でギターをかき鳴らしていた彼は今何処にいますか?ボンテージで腰を振り続けた彼は腰痛でお払い箱になりましたよ?俺は伊織を使い捨てにするつもりは――」
「私もない。だが『一発芸人』と呼ばれる彼らを卑下するつもりもない。彼らは例え一瞬でも、光り輝いたのだからね」

だがこの方針変更にはリスクが伴う。映画にしてもドラマにしても拘束時間が長いのだ。一年のプロデュースではトップアイドルは狙えないだろう。もう一つの談判の内容。それはプロデュース期間の延長だった。

「最初に君に伝えたとおり、一年で芽が出なければこの世界では通用しないと私は思っている。無理なもの引き留めるのは彼女たちの人生を破壊する事になろう。むしろ残酷なことだと思わないかね?」
「それも分かります。ですが伊織の才能は疑いようがありません。5年、いやせめて3年…」
「水瀬君を信じているのだね?」
「はい」

間髪入れずに答えた返事に社長は腕を組んだ。沈思する社長は眉をひそめる。社内に残っているのは二人。サーモスタットに反応したエアコンがうなり始めると、社長は深い溜息をついた。

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posted by tlo at 02:58| ○○の仕事風

2009年02月21日

伊織と俺のプロデュース10

もうもうと湯気の立ちこめるバスルームに、シャワーの激しい水温が響く。白い視界の向こうには、優美な曲線を描くシルエットが見え隠れする。熱い湯が肌をピンクに染める。湯は肌に弾かれ、まだ控えめな双丘の谷間からくびれた腰に流れ、脚を撫でるように伝っていく。

『君がそれも手段だというのなら、俺もそれを躊躇しない』

伊織はプロデューサーの告げた言葉を思い出す。躊躇しないという事はつまり、求められれば伊織の躰を差し出すという事だ。躰を差し出すということは……。伊織は胸に手をやる。近頃、手のひらには収まらなくなってきた乳房の奥で、心臓が高鳴る。耳の奥で響く早鐘は、熱いシャワーの所為だけじゃない。

『あの監督を落とせば一気に海外デビューを果たせる。君の言うとおり、これはチャンスだ』

確かにチャンスだ。だからこそ、あの時ホテルにまでついていったのだ。セレブアイドルなどと当て付けられて自棄になったのは事実でも、どこの馬の骨ともわからないテレビ番組のディレクターであれば躰を差し出すつもりは毛頭無かった。そう、一つの手段としてそれを選んだのだ。
伊織は、曇った鏡を拭う。そこには未成熟な14歳の少女が立っている。大人びていると言われても伊織はまだ大人ではない。面と向かって躰を売れと言われて、動揺しない訳がないのだ。だがしかし、もう子供じゃない。少なくともプロデューサーは大人として扱っていると伊織は考える。
少しは配慮しろと毒づく一方、子供扱いされるのは論外だ。この頃はその辺りの機微を見透かして、づけづけと正論をぶつけてくる。まったくもって憎たらしい。大体、いい歳して涙流してわんわんないて、10分も発ってない内に出てきたセリフとは思えない。いつものしたり顔でしゃあしゃあと……

「ったく、あの男はっ……」
「伊織ちゃんが男と……」
「そうよ、あの男と来たら」
「詳しく聞かせてくれるかしら」
「ええ、聞かせてやるわ……って何してるよ小鳥?!」

バスルームの扉から、小鳥が顔を覗かせていた。

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posted by tlo at 02:34| ○○の仕事風

2008年12月28日

伊織と俺のプロデュース9

全てを話し終えて、プロデューサーをのぞき見た。真っ青になっていた。あの監督とラブホテルに入って、スカートをめくったと言った時など死にそうな顔をしていた。

いい気味だ。

私が、この水瀬伊織が、あんな目に遭ったというのにこの男はうまそうにハンバーガーをほおばりポテトをかじっていやがった。警官に見とがめられ時に、この男の顔をみて少しでも安心した私が馬鹿だった。救いを求めて、相談した私が馬鹿だった。

この馬鹿は私を娼婦と一緒と宣ったのだ。

資本主義? マルクス? 男の身勝手? しゃあしゃあとご高説を垂れたしたり顔は、私のたったこの数時間の経験談で、木っ端微塵に崩れさった。

いい気味だ。

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   Λ_Λ :::::::
  /彡ミヘ )ー、 ::::
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 /:|:: \ 丶| :::
 ̄L_ノ ̄ ̄ ̄\ノ ̄ ̄
これそっくりで笑ってしまうwwwww

このヘタレの次のセリフはきっとこうだ。
『本当か? 本当にしてないんだな?』
そしたらこう答えてやろう。
『…嘘……ねえ、妊娠検査………用意してくれない?』
そしたらまた死にそうな顔するに違いない。
『まじめに答えてくれ。今後のプロデュース方針に関わるんだ』
とか言ってくるかも知れない。そしたらこう言ってやろう。
『だったら確認すればいいじゃない。アンタのを挿入(いれ)れば一発で分かるわよ』
この根性無しがそんな事出来るわけがない。しばらくはこうしていたぶり続けてやる。
そしてそのうち本当にどこかの男と寝て仕事を取って………この馬鹿はお払い箱だ。

いい気味だ。
本当にいい気味だ……って、泣き始めた?!


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posted by tlo at 18:07| ○○の仕事風

2008年12月27日