2008年12月26日

伊織と俺のプロデュース6

#時系列戻ります。18歳以下非推奨。



壁に手をつき、スカートをまくり上げ、少女は尻を突き出している。その尻から男が腰を引くと、ソレが引き抜かれ、少女の局部から欲望が混じり合った体液が垂れる。小用を済ませたとばかりに、男は手早くベルトを締める。半裸の少女はその場にへたり込んでしまった。


伊織が見たのは「枕」営業ですらない、階段の踊り場での「交渉」だった。


「大丈夫かい?」
「またイカされちゃった…部長さんスゴイもん」
「○○ちゃんも凄かったじゃない」
「えへへーステージの上だともっとスゴイよ」
「来週もあの出演枠を用意しておくよ」
「ホント!? でも、来週って別の事務所の娘が入ったんじゃなかったっけ」
「あの枠は僕が自由に出来るんだ。○○ちゃんの為ならずっと枠をとっておくさ」
「ありがとう!」

頭が真っ白になっていた伊織が我に返る。来週といえば、先日プロデューサーと怒鳴り込んでもぎ取ってきた枠だったはず。そもそもキャンセルの原因が、コレによるものだったのだ。心拍数がさらに上がる。視界が真っ赤になる。伊織は、飛び出した。

「アンタ! 何やってるのよ!!」
「きゃっ!」

男は既に立ち去っていた。散乱した衣服、少女の足首にはずり降ろされたくしゃくしゃのショーツが絡まる。中腰になってティッシュで局部を拭き取っている少女の姿に、伊織は嘲笑を浴びせた。

「なんて恥ずかしい格好なのかしら。雌犬みたいに盛っちゃって。アイドルとしての自覚あるの?」
「……私がアイドルだって知ってるの?」
「アイドル? フン。アイドルの風上にも置けないわね。アンタ、娼婦だわ」
「……」
「このことマスコミにばらしたらどうなるかしら? アンタもあの部長さんとやらもお仕舞いね」
「……あんた、ミナセイオリね」
「穢らわしい口で私の名前を呼ばないでくださる?」
「ああ、やっぱり。金で仕事をとってるミナセイオリね」
「なっ何言ってるのよ!? そんなことしてないわ!」
「嘘。みんな言ってるわ。水瀬のお嬢様がアイドルごっこしてるって。あんたがミナセイオリじゃ無かったら、だれも仕事回さないって」
「なんですって!」
「だってそうじゃない」
「違うわ! 仕事を取れるのは、私の実力よ! アンタなんかとは違うわ!」
「あたしこそ、あんたみたいなのと一緒にされたくないわね」
「ふざけないでよ! 娼婦の癖に!」
「じゃあ聞くけど、アイドルと娼婦とどこが違うの?」
「全然っ違うわ」
「あんたやあたしの水着写真を、ファンはどんな風にみてると思う?」
「……」
「ステージのパンチラ写真、あんたもネットで流出したことあるでしょ?」
「あれは見せパンで…!」
「って、あんたわざとパンチラしたっていうの?」
「違う!」
「でも見せパンって言ったじゃない」
「……違う」
「アイコラって見たこと無い? 笑えるわよ。あんたの顔がAV女優の裸につぎはぎされてたのもあったわ」
「……違う」
「大体ステージでスクール水着で歌う方がよっぽど恥ずかしいじゃない。あんたもそうでしょ?」
「……」
「可愛く喘ぐと男の人って喜んでくれるんだよ。歌と似てるよね」
「……やめて」
「イク時ってステージをやりきった時のカイカンと同じなんだよ」
「やめて」
「知ってる? 男の人のアレって、マイクより小さいんだよ」
「やめて!」

伊織は目をそらす。少女は鼻を鳴らすと、ショーツをずりあげた。

「何がセレドルよ。あたしこそ冗談じゃないわ。あんたみたいにオママゴトでアイドルしてるの見るとムカツクのよね」
「……」
「あたしはね文字通り体はってるの。そうよ、あたしはあんたと違うわ。あたしは、真剣よ」

娼婦とアイドルは違う。だが伊織に言い返す言葉はなかった。彼女の言う言葉は本質を突いているのである。男達の欲望の象徴として、自分が彼らの代償行為に使われている事に気づかぬ伊織ではなかった。

「ああ、言っとくけどマスコミにリークしても無駄よ。うちの事務所、そっちに顔が広いの」

だが、何よりも、自分が彼女の立場なら「そうしていた」という確信が伊織を慄然とさせた。
この少女は自分の影だ。のし上がるためには何でも利用すると誓った己の、行き着く先なのだ。

「何泣いてるの? ケンカ売ったのアンタでしょ? バカじゃない? 悔しかったらあんたも体をはればいいのよ」

少女はセーラー服のタイを閉める。その制服は伊織も知っている女子校のもので、学年も伊織と変わらない。


「出来るものならね」

posted by tlo at 22:17| ○○の仕事風