2008年07月27日

1

「アンタ、千早スキーなんですってね」
「そうかな」
「だって反論しなかったじゃない」
「確かに千早との仕事が多いからね。あながち外れじゃない」
「でも、アンタ『5人目ぐらいの伊織派』だとか謳ってたじゃないの」
「うん」
「ま、PはPでもプロレタリアートなアンタじゃ、私をプロデュースできるわけないと思うけれど」
「ゴメンな」
「……言い訳ぐらいしなさいよ」
「そうだな…千早とは仕事仲間としてフィフティーフィフティーの関係なんだ。
 俺はそういう緊張関係が楽しいし、彼女に歌って欲しい曲はまだたくさんある」
「……」
「それに千早はよそのPさん達とうちとけた関係を築いているからね。
俺はそんなPさんから千早をお借りしている感じだな」
「まさか伊織派だなんていっているのは、ライバルが少ないからだなんていうんじゃないでしょうね?」
「違うよ」
「……同情だなんていったら、赦さないわよ」
「違う」
「じゃあ――」

「君はどうしようもない孤独を抱えているように見える。その孤独を誰も理解できないとさえ思っているような深い孤独だ」
「はぁ? なに言ってるの?」
「もしかしたら、やよいと一緒にいるときでさえ君は一人な感じがする。彼女は君にはまぶしすぎる太陽だ。光が強ければ、影はそれだけ濃くなるからね」
「なによそれ。いい加減なこといわないで」
「いずれやよいは君の孤独を埋めてくれるとおもうよ。でも、今は彼女は幼すぎる」
「何を根拠にっ」
「だって、君はいつでもうさちゃんを抱いている。それは君の孤独の象徴じゃないかな」
「……」
「俺はその事に気づけなかった。ゲームの外で君と仕事をしてようやく分かったんだ。
 孤独を救いたいだなんて言わない。ただ伊織とは、じっくりと付き合いたいと思っている」
「……あなたがそう思う気持ち、分かるわ」
「え?」
「それはあなたが孤独だからよ。あなたは自分が孤独を感じているから、その姿を私に見ているの」
「……」
「人は人形に、己の姿を仮託する。そして私は人形(アイドル)。
あなたが私に見ているのは、あなたの影よ」
「そうかもしれないね」
「やけにあっさり認めるのね」
「だって君がうさちゃんを抱くように――」
「……」
「君を抱いている間、俺は寂しくなかったから」
「……バカ」

−−−


「美希と仕事をさせたのは、もしかして私のことを考えて?」
「さあ、どうだろう」
「何よ思わせぶって」
「彼女もまた太陽だと思う。月は陽の光を反射していろいろな姿をみせてくれるからね。
 やよいと一緒の時とは、また別の君が見れると思っている」
「でも、アイツと私じゃ全然合わないわ」
「千早と春香みたいな関係になれるといいね」
「だってアイツ、私のこと『凸ちゃん』っていうのよ。ふざけるなっての。
 なによあのエアヘッド。何も考えてないから胸ばっかり大きくなるよ」
「じゃあ伊織も何も考えない方がいいよ」
「変態大人っ!!」

−−−
posted by tlo at 08:13| ある日の風景的な何か